治療症例

歯科疾患(歯周外科)

患者さんは、5才のトイ・プードル。前歯がぐらぐらしているということで他院より紹介来院されました。 
今まで、歯磨きはしていなかったそうです。
※今回の症例は、内容が複雑になってしまうため上の前歯(切歯)の処置についてなるべく簡単にお話させていただきます。

 

歯科疾患(歯周外科)【診察】

切歯は中程度の歯石の蓄積と歯肉の退縮・炎症が認められました。
触診上、1本に明らかな動揺が認められました。
(黄色い矢印)
以上の所見から前歯で中程度~重度の歯周病と診断いたしました。

 

【インフォーム】

ワンちゃんネコちゃんの歯周病の診断は麻酔をかけて歯周検査・レントゲン撮影しなければ正確な評価・治療は行えません。 そして、歯周病の治療の基本は歯周ポケットの治療ですので、麻酔かけずにしっかりとした治療は行えません。
その事をお話しした上で、飼い主様はできるだけ歯を抜かずに、治療してあげたいと言われました。

【歯周検査】

麻酔下でレントゲン、歯周検査を行ったところ、下記の所見が得られました。
切歯全体・・・歯を支える骨の吸収、3~4mm程度の歯周ポケットの形成
水色の矢印で示した歯・・・軽度の動揺
黄色の矢印で示した歯・・・中程度の動揺と5mmの歯周ポケットの形成
ちなみに、『正常な小型犬の歯に動揺はなく、歯肉溝(歯周ポケット)は1mm程度です。』

歯科疾患(歯周外科)   

【治療】

治療の目的は、歯周病が進行した動揺の認められる切歯の保存治療です。
歯周ポケットが深い場合、通常の歯石除去(スケーリング)や歯周ポケットの清掃(ルートプレーニング)のみでは歯周病の進行を抑制する事は困難であり、限界があります。
具体的には、4mm以上のポケットは盲目下でのルートプレーニングのみでは歯石の完全除去は困難とされています。
そのため、今回の症例では歯周外科による手術法を選択しました。
歯肉をはがして歯根を露出させ目視下にて歯石をしっかり除去し、縫合しました。
その後、歯の支持組織を再生・安定させるため、またブラッシングに耐えられるようにするために、動揺した歯は隣接した動揺のない歯と接着させました。

フラップ手術 処理終了後

 

【経過】

今回の処置で、前歯の動揺は全くなくなりましたが、歯周ポケットは存在し、以前より歯周組織も弱くなっているため入念なオーラルケアが必要とお話しました。
喜ばしいことに、飼い主様は今回の件をきっかけに歯磨きを始められました。
現在、2週間経ちましたが炎症もなくなり、歯垢・歯石の蓄積もなく経過は良好です。(下の写真)

歯科疾患(歯周外科)

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