歯科
3歳のワンちゃんでは60%、ネコちゃんでは80%に歯周病があります。
これは、今一度考えなければいけない大きな問題ではないでしょうか?
このページでは、歯周病だけでなく“お口の中の病気”について理解を深めていただき、より一層“歯”に関心を持っていただきたく、作成しました。
なるべく、簡単にわかりやすく作りましたが、わからない事があれば病院にお尋ねください。
そもそも歯周病とは?
予防歯科とは?
病院ではどういう歯周病治療をするのか?
他にはどんな病気があるの?
などを、絵・写真まじえて紹介していこうと思います。
歯周病とは?
口腔内を不潔にしていると、プラーク中の細菌が繁殖し、炎症を起こします。
特に、小型犬では歯と歯の間が狭いため歯垢が溜り、歯周病になりやすいのです。
歯肉炎と歯周炎に分けられます。
歯肉炎
歯肉の炎症による出血、腫れが特徴です。
歯肉辺縁に付着した歯垢により引き起こされます。
この状態であれば、的確な初期治療で完全に治癒します。
しかし、放置すると歯周炎に進行してしまいます。
歯周炎
歯を支えている歯周組織が破壊され、歯周ポケットが形成されます。
歯肉が腫れたり、膿(うみ)がでたりと強い痛みを感じます。
処置が遅れると最終的には歯を抜かなくてはいけなくなります。
また、歯周炎は“眼窩下膿瘍”“口鼻瘻”“顎骨骨折”“全身性細菌性疾患”のような病気に進行する事もあります。
(人で言われる歯槽膿漏とは一般的に成人性歯周炎の事を指します)
ワンちゃんだと鼻水、くしゃみ、
ネコちゃんだといつもと食べ方が違う、口を気にしている、よだれが多い
その他、顔が腫れているなど症状がでたら重度の歯周病を患っている可能性があります
予防歯科とは?
このプラークコントロールが歯周病の基本的な予防法となります。
犬も猫も当然例外ではありません。
犬では、プラークは3~5日で歯石になります。そのため、毎日の歯みがきが重要となります。
そして、補助的にデンタルジェル、歯みがきガムを利用することによって効率的に歯垢・歯石の付着を防ぐことができます。
(当院では、歯みがき教室・歯科検診を行っていますのでお気軽にご相談下さい。)
歯科治療の実際とは?
院では人と同様、超音波スケーラーにて歯石を除去した後、歯面の研磨をします。
重度の歯周炎に進行してしまった場合は抜歯をしなければならない事も多くあります。
実際には、麻酔をかけた上で歯の動揺度、歯周ポケットの測定、レントゲン撮影、など様々な歯周検査を行い、それぞれの歯の状態を評価し適切な治療を選択することになります。
実際に処置した様々な歯周病ステージの写真を下に載せます。
進行した歯周病でなければ以前のようなきれいな歯肉、歯牙に戻る事が可能ですが、進行してしまうと抜歯以外の選択肢はなくなってしまいます。
そのためにも、早期治療しプラークコントロールによって口腔内を清潔に保つ事が重要となります。
治療症例
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【施術前】
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【施術後】
Case2.
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【施術前】
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【施術後】
Case3.
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【施術前】
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【施術後】
Case4.
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【施術前】
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【施術後】
Case5.
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【施術前】
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【施術後】
大事なのは!
特に、乳歯列期など幼い頃から楽しく歯を磨く事になれることが理想です。
また、歯みがきを毎日の習慣にすることによって口の中の異常に気がつきやすくなります。
例えば、口の中にできる腫瘍は食欲が落ちるなど症状が出てきたときには進行して手がつけられないというケースもあります。
もし腫瘍ができたとしても毎日お口を見ていれば、小さい段階で発見できます。
その分早い段階で治療でき予後が良好という事にもつながるかもしれません。
ワンちゃんも私たちと一緒です。がんばって歯を磨きましょう!
歯周病以外の代表的な口腔内疾患
乳歯遺残
犬、特にチワワ、トイプードルなど小型犬に多く認められます。
そのままにしておくと不正咬合、歯周病などにつながります。
特に、咬合学の観点から永久歯との交換の時期(約5~7ヶ月)がとても重要な時期と考えられています。必要であれば予防的に乳歯を抜歯する事も必要です。(抑制矯正)
その時期は、必ず病院を受診するようにしてください。
咬耗・破折
骨や蹄などの硬いガム、フリスビーやテニスボール遊びによって歯質がすり減る事を咬耗(こうもう)と呼び、強い外力を受けた時に歯が折れる事を破折と呼びます。
これらは、歯の外傷でよく認められます。重度になると歯髄まで障害が及びます。
治療方法は、原因を取り除いた上で根管治療、歯冠修復となります。
※現在当院では根冠治療、歯冠修復の処置は実施しておりません。
不正咬合
不正咬合は、骨格のズレから生じる骨格性不正咬合と歯の生え方に異常を認める歯性不正咬合に分けられます。 これは、遺伝など先天的な原因が大きいとされています。 特に、小型犬、短頭種は顎自体が小さいので、歯が十分に生えるスペースが小さい、乳歯が遺残しやすいなどの原因により歯性不正咬合をよく認めます。
歯が本来持っている機能が十分に発揮されない、将来的に歯周病にかかりやすい、歯が口腔内粘膜に当たり傷つけてしまうなどがあれば、治療適応となります。
治療方法は、歯科矯正、歯冠切断、抜歯があります。
※現在当院では歯科矯正の処置は実施しておりません。
口腔内腫瘍
口腔内腫瘍は犬、猫ともに比較的発生率の高い腫瘍です。
悪性腫瘍では、悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫、良性腫瘍では、エナメル上皮腫、エプリスが挙げられます。
これらの腫瘍の性格は、それぞれ大きく異なり、見た目では確定診断はできません。
腫瘍の種類、大きさ、周囲組織への浸潤、転移の有無によって手術方法が大きく変わります。
歯科治療機材紹介
当院の歯科治療機材を紹介します。
【歯科治療機器、エアータービン・超音波スケーラー装備】 |
【超音波スケーラー使用時に使う中性水精製器】 |
後は、歯内療法などで使う特殊な機材になります。